- 著者インタビュー
- 学級経営
既にお読みになった先生方から、「理論と実践が往還しているので、読み進めては戻り、大事な事を確認する、それを繰り返しながら読んでいます」というお声が届いています。
述べていることのほとんどに研究的、実践的根拠を示しました。すんなりわかるところもあれば、何度も読むことで理解できるところもあろうかと思います。お一人で読み進めていただいても勿論結構ですが、同僚やサークルのお仲間と読書会を開いて議論しながら読み進めていだいても結構です。
とてもシンプルに言うと、「ひきあげる」機能は、子どもの能力を伸ばすことです。みなさんが、「教師の仕事」と捉えていることかもしれません。学校教育には社会から期待された役割があります。その期待に基づき、知識やスキルを身に付けるように指導をすることです。しかし、「ひきあげる」機能は、単独ではそれが機能しないというのがこれまでの研究から指摘されていて、それが本書の中心的な主張になっています。
「養う」機能とは、子どものありのままを受容したり心情に配慮したりすることです。その指導や支援には、「あなたはあなたのままで十分ステキですよ」というメッセージが込められます。
子どもが自分のことを認め受容するためには、教師との関係性だけでなく、子ども同士の関係をつくり、良好なものにすることも必要となります。子どもは周囲からのフィードバックによって、自分のあり方を見つめていきます。だから、良好な関係性の集団になかにいることによって、自分のことを肯定的に捉えることが可能になります。
6つのスキルについての詳細は本書に示してありますので、具体的には、お読みいただきたいと思います。
スキルを身に付ける場合は、@まずはやってみること、Aそのチャレンジを振り返ること、Bそして続けることです。本書でお示しした「アンガーマネジメント」のスキルなどは、難しい場合もあることでしょう。しかし、やってみなければ身に付きません。取り組んでみて、上手くいかなかったらなぜ上手くいかなかったのか分析し、修正して取り組みます。うまくいかなかったら何かを変えればいいのです。
スキルのひとつとして「6秒ルール」を紹介していますが、うまくいかなかったら8秒にしてみるとか、その場を立ち去って落ち着いてから指導を再開するなどの修正をしてみます。うまくいったら、うまくいった理由を考えてみた上で、自分をしっかりほめます。成功しても失敗しても、振り返りながら続けることで自分なりのコツがつかめることでしょう。
クラスが安定するためには、手順の指導としつけは必須です。しかし、あまり初日から気負いすぎないことが大事です。まずは、この先生となら楽しくやっていけそうだと思って貰うことの方を優先したいものです。手順の指導としつけのスタートは、まず安心して貰うことです。
先生方がどう自分の力量や存在をどう捉えていようが、子どもたちにとっては教室のリーダーなのです。最初のリーダーシップは、自分がリーダーであることの自覚です。よきリーダーでありたいと思う先生のために書きました。「たったひとつのこと」とは何かをお一人で熟考したり、お仲間と議論したりしていただければと思います。