- 大前暁政の“欲ばり”時間術
- 教師力・仕事術
時間は、自分にとっても、他人にとっても大切なもの。人の時間を大切にしようと思えば、自分の行動も自然と変わってきます。
他人の時間を奪う人にならない
子どもたちは、休み時間を楽しみにしています。
外で遊んだり、友だちとおしゃべりをしたり、少し息抜きをしたりと、休み時間にできることはたくさんあります。たった10分の休み時間ですら、子どもたちはいろいろな行動をしています。
ですから、教師はきっちり子どもの休み時間を確保しなくてはなりません。
授業が1分延びたら、その分休み時間は減ってしまいます。授業を5分も延ばすのは問題外です。これでは、子どもから不満が噴出します。
時間は、それぞれの人にとって大切なものです。教師が授業を大切に思っているからといって、子どもの休み時間を奪ってはならないのです。
同じように、他の教師の時間を奪うのも慎むべきです。
例えば、会議の時間に遅れると、全員を待たせているのですから、「人数×遅刻時間」で、ものすごい時間を奪っていることになります。
また、会議のときに長々と話すのもやめたいものです。
会議に30人参加しているとして、60分の会議なら、1人あたり2分以下の発言しかできません。起案文書の説明にどうしても時間を使いますから、意見を言えるのは正味1分以下でしょう。
それなのに、1人で3分も4分も意見をダラダラと言う人がいます。これはつまり、他の人の発言時間を奪う行為に他なりません。
こういった場合、話を短くまとめて、意見は15秒ぐらいでさっと言うべきです。そうすることで、他の人の意見表明の時間も確保できます。
また、授業研究会が終わった後などに、質問を2つも3つもする人がいますが、質問は1つが原則です。どうしても2つ以上聞きたいなら、残りは後で個別に質問すればよいのです。
時間は限られていることを意識する
会議に遅れる人は、どの職場にもいます。私が会議のトップなら、会議に遅れた人を待つことは絶対にありません。
時間内にきちんと集まっている人がいるのですから、定刻に始めるべきです。遅れてきた人を待つと、全員の時間を奪うことになります。
きちんと時間内に来ていた人が不当に時間を奪われているわけです。正直者が馬鹿を見ていては、次から定刻に集まる人はいなくなります。
子どもが遅刻したときも同じです。さっさと授業や活動を始めます。待つことはありません。
つまり、時間は有限のもので、1日に24時間と決まっているのですから、時間はむだ使いしてはいけないのだと心得るべきなのです。
私は、恩師から「時間ドロボーは、相手の命の時間をも奪っていることに気づいていない」と言われて以来、このことを意識するようにしています。
時間を延ばすことと、人を待たせることは、厳に慎もう。これら2つのことを無意識にしていると、人との信頼関係をいつの間にか損ねることになる。