- 大前暁政の“欲ばり”時間術
- 教師力・仕事術
仕事は、時間をかければかけるほどよいものに仕上がるとは限りません。より短時間でよい仕事に仕上げるためにはどうすればよいのでしょうか?
「締切効果」とは?
仕事は与えられた時間を満たすまで、膨張してしまいます。
一番ダメなのが、締切のない仕事です。ズルズルと、いつまでもその仕事のために時間を費やしてしまいます。
また、締切があっても時間があり過ぎると、「まだ余裕があるからいいや」ぐらいの気持ちで、進め方が遅くなってしまうこともあります。
一方、締切まで時間がなくても、案外よい仕事ができるものです。それは、「締切効果」が発生するからです。締切効果とは、締切を意識することで、仕事への集中力が増す効果のことです。
テスト勉強などでは、「一夜漬け」と揶揄されるように、締切ギリギリで集中力を発揮するのは、あまりよい方法とは言えません。というのも、「短期記憶」に入るだけで、試験が終われば忘れてしまうからです。
ただ、仕事では、「その日までに、仕事を終わらさなくては」という意識がよい集中力を生むことがあるのです。
締切効果を利用する
私の場合、仕事面では、常に締切を設けるようにしています。
日々の仕事には、もちろん締切があります。「起案書の締切○日」「会議の文書は○日まで」といった具合です。
また、自発的な仕事やかなり長期的な仕事にも、必ず締切を設けています。例えば、「いつか国語科の文学作品の指導方法をきちんと勉強してまとめてみたい」と思っているとします。しかし、この「いつか」は締切を設けないと「いつまでも」やってきません。
そこで、「この仕事は、夏期休業中に開始し、8月末までにレポートにまとめる」といった具合に、自分で締切を設定してしまうのです。
こうすれば仕事を意識できますし、本当にきちんとできるものなのです。
ただし、締切効果にもデメリットはあります。
設定した締切が適切でない場合、一夜漬けによって仕事の質の低下を招いたり、逆に「まだ余裕があるからいいや」とほったらかしてしまったりすることがあります。
そこで大切なのが、適切な締切を設定することです。
実は、この適切な締切を設定するというのがなかなか難しいものです。これは、だんだんと慣れていくうちに「これぐらいの期間ならこの仕事はちょうどよく終わるだろう」というのがわかってくるはずです。
無理は禁物ですが、「締切が早くても、意外と質の高い仕事はできる」という意識は必要です。
自分の能力に見合った締切設定ができるようになれば、仕事はどんどん片づいていくはずです。
早めの締切で仕事を進めているからこそ、後手に回らなくて済み、万が一遅くなっても、余裕がある。行き当たりばったりで仕事をしているのが一番まずいと心得よう。