- 大前暁政の“欲ばり”時間術
- 教師力・仕事術
意図的・計画的に授業づくりを進められると、時間を有効に活用することができます。行き当たりばったりが、一番時間をむだにしてしまいます。
行き当たりばったりをなくす
「何から仕事を始めようかな…」
「今日はどんな準備をしておこうかな…」
このように、何をするか迷うことに貴重な時間を費やしてしまうことはないでしょうか。
仕事に時間をかける以前に、「何の仕事をするのか」「その仕事をどう進めるのか」を考えることに時間がかかってしまっているのです。
では、どうすれば「何をするか迷う時間」を減らせるのでしょうか。
答えは、目標を決めておく、です。
目標をはっきりさせておくことで、手だて、つまり「何をするか」も自ずと浮かんでくるからです。
例えば、単元を行き当たりばったりで進めていると、「今日は何をしようかな…」と迷う時間ばかり増えます。
そうではなく、単元に入る前に「単元が終わるまでに、このような力を子どもにつける」という目標を決めるのです。
さらに言うと、「1年後のすべての授業が終わったときに、必ずここまでの学力をつける」という「必達目標」を決めます。しかも、その目標は、現在の学級の実態からは到達し得ないような高い目標にします。
高い目標を設定すると、今の子どもたちの実態と、1年後の理想の状態に大きな開きがあることがわかります。この開きが大きければ大きいほど、現状を何とか変えていかなくてはなりません。
すると、自然といくつもの手だてが浮かんでくるのです。
その手だてを、「1学期はここまでやって…」「2学期にここまでやって…」と、意図的・計画的に組み立てれば、今月やるべきことが決まり、今週するべきことが決まってくるのです。
実態調査は詳しく
1年後の到達目標を決定するには、ある程度まとまった時間が必要になります。教科ごとの到達目標だけでなく、特別な支援を要する子どもにかかわる目標なども考えなくてはいけません。
春休みに多少時間をとれるはずなので、担任発表があったら、実態調査から始めます。
前年度の授業を踏まえて反省を行い、そのうえで来年度の目標を少しずつ考えておくのです。そうすれば、4月いっぱいまでには1年後の到達目標は決まってくるはずです。
4月の時点では、ある程度ぼんやりとした目標でよいと考えています。とにかく、「1年後、このようなすばらしい状態になっている」というイメージをつくっておくのです。そこから適宜軌道修正をしていけば、よりよい目標になるはずです。
ただし、実態調査はかなり詳しく行います。実態調査を詳しくすることで、多少ぼんやりとしていても、的を射た目標になるからです。
1年後の到達目標が設定できていれば、1年間の授業づくりを意図的・計画的に行うことができる。
目標があるからこそ、手だても次々と浮かんでくる。